第2回:「シーフイ堂の薬膳コラム」肺の養生

ヘルスケア

こんにちは。中医薬膳師のユキです。

新型コロナウイルスの脅威で世界中でネガティブなニュースが続いていますね。

最前線で働く医療従事者の皆さん、お仕事のために外出して人との関わりが避けられない皆さん、お疲れさまです。本当に、本当にありがとうございます。おうちで引きこもりが続く皆さん、同じような日々でだんだん嫌になってきちゃいますよね。

皆それぞれ苦労がありストレスの溜まる毎日ですが、私は薬膳のお話で少しでも皆さんの気分転換のお手伝いができればと思います。一刻でも早く、心休まる生活が戻ってきますように。

ということで、 今回はコロナを意識したお話です。

正気存内、邪不可干

中医学では 予防こそが重要だと考えられています。 中国最古の医学書《黄帝内経》には「正気存内、邪不可干」という有名な一節がありますが、これは「体内が正気に満ちていれば、邪気はなにもできない」という意味です。

正気とは身体を守る気のこと、邪気とは身体に不調を与える原因です。私達の身体の中でこの2つは常に対立していて、邪気が正気よりも優勢になることで病気になると考えられています。

薬膳では病気になる前に健康の維持に努めるという「養生」という言葉がよく使われます。どんな病気の対策も まずは養生して、正気を強めて邪気にチャンスを与えないことが大事です。Team 正気!フレーフレー正気!

さて、この邪気ですが、コロナウイルスのように伝染性が強く急速に悪化する感染症は疫癘(えきれい)邪気と呼ばれます。薬膳は比較的ゆっくりと症状を改善していくのが特徴ですので、こういった感染症へ直接的に立ち向かうには不向きと言えますが、 まだ健康な状態の身体に疫癘邪気を侵入させないために予防するのは薬膳の得意技です。

ということで、今回は私なりに疫癘邪気への予防策と薬膳茶を考えてみました。よかったらお付き合いください。

肺の養生


疫癘邪気は
口鼻から呼吸と共に身体に侵入する、もしくは飲食と共に侵入し消化器官で感染すると言われています。

肺は に通じて外と繋がっているので邪気が侵入しやすいこと、また中医学では身体の臓器は互いに影響し合っていると考えられていて、 肺と関係が深い臓器は消化器官である大腸であることから、私は疫癘邪気の侵入を予防するには肺の養生が重要だと考えます。

ウイルス性肺炎の特徴の1つは咳ですが、中医学では肺が乾燥すること、あるいは肺に湿気が溜まりすぎて痰が発生することで咳が起こると考えられています。また、呼吸をして常に空気の入れ替えを行なっていることからも分かるように、肺はいつも清潔な状態を好みます。

植物と一緒で、肺は 潤っている状態がベストだけど、だからといって水のやりすぎや換気ができない状態は禁物なのです。これが肺の養生のポイントです。

潤すとは

肺は潤っている状態がベストだとお伝えしましたが、実は中医学で「潤す」とは「保湿する」とか「喉の渇きを癒す」以上の意味を示します。

中医学では身体を流れる液体を「津液(水液)」と呼びます。例えば 汗・鼻水・涙・唾・涎や胃液、さらには血液も津液が変化したものです。ですから、潤すというと、ただ水分が多くなる訳ではなく血液も正常に行き渡るということなのです。

薬膳茶の紹介

ということで今回は肺を潤す薬膳茶と、余分な水を取りつつ潤いを維持する薬膳茶の2種類をご紹介します。

①肺を潤す:枸杞白きくらげ茶

【材料】

  • 白きくらげ(銀耳)3g
  • 枸杞の実 5g
  • 烏龍茶 5g

作り方

①白きくらげを水で戻す
②白きくらげが柔らかくなったら、黄色い部分を探して切り離す

(白きくらげの黄色い根元の部分には毒性があるので、食べると食中毒の症状を起こします。私、以前これを知らずに普通に食べてしまって、1日苦しみました…。皆さま、面倒かもしれませんが黄色い部分はきちんと切り離して、決して食べないでくださいね!)

③枸杞の実と一緒に小鍋で煎じる
④煎じ汁で烏龍茶を淹れる
⑤できあがり

★白きくらげ

黒きくらげはよく中華料理の中に入っているので食べたことがある方も多いと思いますが、今回使用するのは白い方のきくらげです。あまりスーパーでは見かけませんが、漢方薬局や乾物屋さんなどで購入することができます。黒きくらげの方は止血類といって血を留めておく作用があり、貧血や不正出血に効果があると言われていますが、白きくらげは 滋陰類に属し、 潤いを補う作用が特徴です。

★枸杞の実

杏仁豆腐などにに入っている赤い実です。お料理にもお茶にも何にでも合うのですごく使いやすい食材だと思います。 滋陰類で、肝・肺・腎を潤します。目のかすみ、足腰のふらつき、咳や喘息にも◎。

★烏龍茶

中国では 烏龍茶はお茶の中でも潤す作用が強いと言われ、乾燥しやすい秋に好んで飲まれています。烏龍茶は半発酵茶と言われ、種類ごとに発酵度が幅広く、緑茶のように青々とした茶葉もあれば紅茶のように深い色の茶葉もあります。今回はキンモクセイの香りが感じられる「黄金桂」という中国福建省の茶葉を使用して華やかな風味にしました。お茶の種類でアレンジができるのも薬膳茶の楽しみの1つです。

②余分な水分をとりつつ潤い維持:はと麦百合根茶

【材料】

  • はと麦 10g / はと麦茶のティーバッグ1回分
  • 百合根 6g

作り方

③ティーバッグではない生のはと麦の場合は、お鍋やフライパンなどで焙煎する
④百合根を軽く洗い、はと麦と一緒に煎じる
⑤できあがり

★はと麦


はと麦は美肌効果でご存知の方も多いと思います。 利尿作用があり、体内に滞ったむくみや膿を排出すると言われています。私はお茶以外にもお米に混ぜて炊いて食べています。ただ、身体を冷やす性質なので、特に寒い時期は食べすぎ注意です。

生のはと麦をお茶にする際は焙煎して使用しますが、焙煎といっても フライパンなどで3–5分ほど弱火でコロコロ転がすだけの簡単な方法で大丈夫です。茶色く変化するにつれて香ばしい匂いが薫ってきたら、焦げないうちに火を止めます。(ちなみに焙煎したものをそのまま食べても美味しいです!)

★百合根

百合の花の球根の部分です。おせち料理で使用されたり日本の食卓にも馴染みのある百合根ですが、薬膳では心を潤し、精神疲労や不安感を落ち着かせてくれる効能があると言われています。(イライラをクールダウンさせるイメージ)また、肺を潤して咳をとめる働きもあります。

使用する小鍋や急須はホーローやガラス製、陶器、磁器が適しています。金属製だと素材の成分が薬膳茶の材料と反応してきちんとした効果が得られない可能性があるためです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。この2つのレシピは肺炎対策に限らず、普段から常飲しても問題ありませんので是非お試しください!みんなで肺を潤して養生しましょう〜!

 

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