第1回:「シーフイ堂の薬膳コラム」そもそも薬膳茶とは?

ヘルスケア

はじめまして。このたび薬膳茶についての記事を連載させていただくことになりました、シーフイ堂 ユキと申します。
中国広州市2年間中国茶と薬膳を習い、日本中国茶交流協会 高級薬膳茶療公認講師資格を取得、日本で中医薬膳師の資格を取得して現在国際薬膳師の勉強中です。この連載を通して読者の皆さまに薬膳茶の魅力を少しでもお伝えできたらと思います。よろしくお願いします。

第1回目の今回は、『そもそも薬膳茶とは?』というテーマで進めていこうと思います。

⒈ 薬膳の始まり

突然ですがあなたは森を散歩しているとします。森を歩いていると木に赤く輝いた美味しそうなリンゴが実っているのを発見。また、そこから少し歩くと今度は紫色と黄色の鮮やかなキノコが生えていました。キノコの周りの草は全て枯れてしまっています。

持ち帰って食べるとしたら、あなたならどちらを選びますか?
おそらく、並外れた冒険心がない限りはリンゴを選ぶのではないでしょうか。なぜなら、私達はリンゴが食べられることと、キノコには毒性の種類があることを知っているからです。しかしながら、原始時代の人々は食べられるものと食べられないものの区別がつかなかったため、腐ったものや食用ではないものを口にしてよく食中毒や病気になっていました。そんな苦労が薬膳の始まりです。

長い歴史の中で、人類は生きるために食べられるもの(食材”、“食べられないもの”を記録し、古代中国人はそこから更に“ 美味しくないけど薬として使えるもの(生薬/中薬)”、“ 美味しくて薬にもなるもの(食薬)”を発見しました。そして中国・周の時代には食事で王の健康を管理する職業も作られるほど、食と健康の繋がりが重要視されました。これが薬膳や中医学の土台となり、人類の知能の向上や食文化の発達を経て、現代私達が愉しむ薬膳に繋がっています。

2.薬膳と中医学

薬膳には日本漢方・韓方薬膳など中国以外のものもありますが、これらは全て中国で発祥した 中医薬膳を国ごとに独自に発展させたものです。
中国の薬膳は正式には「中医薬膳学」と呼ばれ、中医学の理論に基づいて食材や中薬の調理をすることで健康の維持や病気の予防・治療を目的に研究される学問です。すなわち、“中医学の理論”なしに薬膳料理・薬膳茶は完成できません。ということで、中医学の理論とはどんなものなのか簡単にご説明します。

中医学とは

中医学は中国の古代哲学から生まれた医学で、その基礎には“宇宙の中に存在するものは全て繋がっており、互いに影響しあいながら循環していると”いった考えがあります。それを表す陰陽のマークはご存じの方も多いのではないかと思いますが、これは“ 全ての物事は陰と陽に分けられ、陰陽によって全ての事象が説明できる”という陰陽学説を象徴するマークです。

例えば月、夜、暗はで、太陽、昼、明はです。
そのような感じで、“ 宇宙に存在するものは全て繋がっていて、互いに影響しあいながら循環している”という思想は中医学、そして薬膳にとってすごく重要な考え方であり、それを主として中医学には物事の分類がいくつか存在します。それぞれ不思議と説得力があって面白く、薬膳を語る上でも欠かせないのですが、奥が深くてチャチャっと説明ができないので、そのお話はまた別の回で詳しくお話ししたいと思っています。

3.薬膳茶とは

さて皆さま、薬膳茶に対してどんなイメージをお持ちでしょうか。
全く馴染みがない方はドロドロの沼みたいな液体を想像されるかもしれません。ドロドロじゃなくてもすっごく苦かったり。身体に良い飲み物って美味しくないものが多いし、ましてや漢方薬って大抵飲みづらいですよね。

漢方薬と薬膳茶

そんなマイナスなイメージを持っている方にこそ試していただきたい。漢方薬と違って、薬膳茶は100パーセント美味しいのです。というのも、漢方薬と薬膳茶、根本はどちらも中医学の理論に基づいて作られているのですが、 実際は全くの別物です。

漢方薬病の回復を目指すお薬です。中医師が患者の様子を観察しながらその人に最適な中薬を配合して処方します。また、そのほとんどが錠剤薬ではないため薬の種類によってはその味や臭いのキツさ、量の多さで服用するのに苦労することがあります。

代わって薬膳茶の目的は 健康の維持ですので、漢方薬のような効果は期待できません。しかしながら、漢方薬と似たような効果を持つ食薬を使用してお茶を作ることができるため、日々自分の体調を観察しながらそ の日に応じた薬膳茶を飲むことで病気の予防へ努めることができるほか、何より、自分好みに美味しく作ることができます。

薬膳茶の紹介:枸杞(クコ)緑茶

第1回目にご紹介する薬膳茶は枸杞(クコ)の実緑茶を組み合わせた『枸杞緑茶』です。

枸杞の実(クコ)

杏仁豆腐の上によく乗ってる赤いアレです。あれ、一体なんだろう〜と思いながら口にしている方も多いのでは?最近はナッツやドライフルーツと共にお店で販売されていることが増えてきました。

食薬にはそれぞれ効能ごとに分類がされているのですが、枸杞の実は 身体を潤す“補陰類”に分けられます。具体的にはどこを潤すのかというと、肝・肺・腎。新型肺炎が流行っている今、私は肺は身体の中のいたわるべき部位ナンバーワンだと思っています。なぜなら、ウイルスは鼻や口から入ってまず呼吸器官である肺を通過しますし、肺炎にかかって咳が続くと 1番負担がかかるのは肺だからです。

また、中医学では肝は目腎は骨や耳と関係が深いと考えられています。そのことから 目のかすみ(肝)、目眩(肝)、足腰のだるさ・無力感(腎)、耳鳴り(腎)などにも効果があると言われています。この臓器と身体の部位の関係はとても面白いのですが、長くなってしまうのでまた違う回で詳しくご説明したいと思います。

緑茶

日本人に馴染み深い緑茶は、熱を下げる“清熱類”と言われています。暑い日に緑茶を飲むとさっぱりして身体の火照りも冷めますよね。さらにカフェインが入っていることで頭がシャッキリする(覚醒作用)ほか、利尿作用もあるので むくみにも効果的です。

作り方

【材料】
•枸杞の実 5g
•緑茶 3g

①小鍋などに水と枸杞の実を入れ、沸騰するまで煎じる
②あらかじめ緑茶を急須に入れておく
③(温度が60−70度くらいに下がるまで少し待ってから)枸杞の実の煎じ汁で緑茶を淹れる

美味しく淹れるポイントは、 お湯の温度、そして緑茶を煎じないことです。
緑茶が1番美味しく飲める温度は大体60−70度くらいです。

また茶葉にもよりますが、緑茶は味が出やすく浸出時間が長すぎると苦味が目立ってしまうので、 絶対に枸杞の実と一緒にお鍋でグツグツ煎じないでください! にが〜くなってしまいます。枸杞の実の煎じ汁を急須に注いだらすぐ(私は3秒くらい)に湯呑みに移すのがオススメです。※煎じた枸杞の実は甘さがしっかり出ているので、甘いのが得意ではない場合は少し濃く緑茶を淹れてもいいと思います。ぜひ試してみて自分のお好みの淹れ方を見つけてみてください。

使用する器

また、使用する小鍋や急須はホーローやガラス製、陶器、磁器が適しています。金属製だと素材の成分が薬膳茶の材料と反応してきちんとした効果が得られない可能性があるためです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
理論的な説明が多く退屈な内容になってしまったかもしれませんが、根気よく最後まで読んでくださってありがとうございました!これからの連載を通じて読者のみなさまに薬膳茶をもっと気軽に感じていただけたら嬉しいです。

 

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。